ルージュのキスは恋の始まり
「龍神社長が聞いたら喜ぶと思う」

 玲王に聞かせてあげたい。

 きっと当然だって言うかな?

 不敵の笑みを浮かべながら。

 百合ちゃんに向かって微笑むと、私は記念品の補充のため会場の裏へ行った。

 怪我した右手を庇いながら段ボールの箱を開けていると、突然罵声が聞こえてその後バチンという音がした。

「何、今の?」

 非常階段の方からだ。

 気になって非常階段の扉を開けると、そこには2人の男性がいた。

 1人は片岡さん、もう1人は見たことのない中年男性。

 片岡さんの頬は腫れていた。

 多分、今叩かれたのだろう。

 私の登場に2人が驚いた表情を見せる。

「・・・・」

 やばい・・・・。

 まずいとこに来ちゃった。
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