ルージュのキスは恋の始まり
「見苦しいな。そんなんじゃあ、じじいの後釜なんて無理だろ。俺をライバル視するのは光栄だが、相変わらずやり方が汚いんだよ」

 俺は吐き捨てるように呟くと、彬を睨み返した。

 こんな奴に負けはしない。

 俺は親父と同じ轍は踏まない。

 俺は親父とは違う。

「自分に自信がない臆病者なんかにうちの会社潰すことは出来ない」

 絶対に。

 俺は彬を冷ややかに見ながら一言一句はっきり言い放つ。

「俺は何もしていない。全部片岡が勝手にやったことだ」

「往生際が悪いんだよ。お前らホントお似合いだよ」

 冷めた目で彬達を見据える。

「不意討ちで面会謝絶のじじいの見舞いに行ってみたらどうだ?お前達が重傷負わせたはずのじじいが、近くの看護婦口説いてるぞ、きっと」
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