ルージュのキスは恋の始まり
 俺が彬達を嘲笑うと、彬は歯ぎしりした。

「お前がそんなことを言えるのは今のうちだぞ」

 捨て台詞を吐いて彬が立ち去る。

「お前のご主人様は彬だろう。早く追ったらどうだ?」

 俺は冷淡に片岡に声をかける。

「・・・・」

「俺の事を憎むのはいいが、お前はお前の人生を歩めばいいんじゃないか。7年も俺に縛られるなんて人生無駄にしてるぞ、卓人」

 お前は馬鹿だ。

 本当に馬鹿だ。

 苦く呟く。

 人なんてやっぱりみんな信用出来ない。

 こいつみたいに簡単に裏切る。

 いつも小姑みたいに煩い奴がいなくなってかえって清々した。

 いなくなったって困らない。

 片岡を置いて踵を返して戻る。
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