ルージュのキスは恋の始まり
「冷蔵庫に入ってる物、適当にレンジで温めて食べろよ。まだその手で調理はするな」

「・・・・」

 ネクタイを緩めながら、美優の返事も聞かずバスルームに向かう。

 シャワーを浴びてる間、俺は片岡と出会った頃の事を思い出していた。

 アメリカ留学中にあいつは突然やって来た。

 じじいの使いだと言って。

 今みたいに仕事をしてたわけじゃない。

 勝手気ままに暮らしていた。

 家事は問題なく出来たし誰の世話になる必要もなかったのに、あいつはスーツケース1個持って俺の許可なく家に転がり込んできた。

 勝手に俺の身の回りの世話をし出し、終いには俺が在学している大学にまでついてきた。
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