ルージュのキスは恋の始まり
 毎日のように俺にじじいの仕事を手伝えと言う。

 しつこくてウザイ男だと思った。

 今までじじいに何を言われてもずっと無視していたが、片岡の存在を認めた時には日本に戻る気になっていた。

 そして、アメリカでの好き勝手な生活にも飽きた俺は、じじいの話を受けるために日本に戻ってきた。

 片岡はきっとほくそ笑んだだろう。

 やっと俺がやる気になったのだから。

 シャワーを終え寝室に戻る。

 美優の滞在が長くなったので、最近までがら空きだった客室に美優用のベッドを入れて、俺は自分の寝室で寝るようになっていた。

 今日は食欲もないし、このまま寝るか。

 そんな事を考えて、ドアを開けると唖然とした。

「・・・・。お前、寝室間違えてるぞ。寝ぼけてんのか?」

 部屋着に着替えた美優が俺のベッドに座っていた。
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