ルージュのキスは恋の始まり
「でも、お前・・・多分初めてだろ?優しくする余裕なんてないぞ」

 これで諦めるだろうか?

 彼女の反応を見ていると、とても経験豊富には見えない。

 冷たく言い放ち、美優を見据える。

 心の中で諦めろって願いながら・・・・。

「初めてだとやっぱり面倒なの?」

 美優が俺の顔を見つめながら自信なさそうに呟く。

 この部屋に入るのだって相当勇気がいったろう。

 美優にこれだけの事を言わせて・・・・。

 俺の中で何かがブチッと音を立てて切れた気がした。

「ああ、もう!後悔しても知らないからな!」

 そう言って屈んで美優の両肩をつかむと、獣のように荒々しく美優の唇を奪う。

「玲王」

 美優の声が切なく響く。

 彼女との長くて短い夜が始まった。
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