ルージュのキスは恋の始まり
「ほら、やっぱり意地っ張りだ」

 どっちがって言いかけて止める。

 玲王がぎゅっと私を抱き締めてきたからだ。

 彼の表情は見えない。

 これじゃあ、何を考えてるのかわからない。

 そんなのは嫌だ。

 今・・この時だけは私を見て欲しい。

 この瞬間だけは何もかも忘れて欲しい。

 体勢を変えて玲王の上になって彼と目を合わせる。

「私だけを見てて!」

 玲王はちょっと驚いていたけど、自嘲めいた笑みを浮かべると言った。

「お前ってホント強いのな。負ける」

「私からは逃げないで」

「ああ、そうだな。悪かった。じゃあ、まずは美優の余裕なくしてやらなきゃな」

 ニヤリと笑って玲王は私に深く口付けてくる。
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