ルージュのキスは恋の始まり
 ふふっと他人事だと思って歩が笑う。

「よりにもよって西園寺との会食なんか入れやがって」

「だって、仕方ないじゃない?西園寺議員の娘があんたの婚約者なんて知らなかったのよ。そう言うのは前もって説明してくれないと」

「お前のお陰で3時間もあのハゲに拘束されたんだぞ。関わりたくなかったのに。それに婚約者なんかじゃない」

「だったら、秘書課のお姉さまを秘書にすればいいでしょう?きっと喜ぶわよ。みんな私の事睨んできて秘書課の居心地悪いったらないわ」

「あんな連中秘書にしたらもっと仕事にならない。歩、お前が男に戻ればいいだろ?きっと、今度は違う目で見られるんじゃないか?お前も見た目は悪くないんだから」

「冗談じゃないわ。ああいう女は嫌いよ。それより、西園寺議院、帰る時獲物を狙う目であんたの事見てたわよ。どうするの?」

「・・・・」
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