ルージュのキスは恋の始まり
 何だかあっさり決まり過ぎて怖かったけど、会長なら納得だ。

 それに、ガクさんは専門知識も豊富で、私がお世話になった教授とかなり親しかった。

「久し振りじゃの?元気にしとるか?」 

「はい。その節は大変お世話になりました。あの・・会長とは存じ上げなくてすみません」

 私がペコリと頭を下げるとガクさんは笑った。

「わしはあんたにとってはガクだ。たまには大学の研究室に顔を出してやってくれ。工藤教授も喜ぶ」

「ええ、近いうちに」

「それにしても、秋の新作の売れ行きは凄いのう」

「社長の手腕によるものだと思います」

「お前さん達の日頃の成果も重要。研究成果がなければ、新作は生まれん。それはそうと、玲王とは上手くやってるのか?」

「え?」

 思わず耳を疑う。

 それは社員としてだろうか?
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