ルージュのキスは恋の始まり
「あちゃー、見つかった。片岡の奴め。見つけるのが早すぎる。またな、美優さん」

 ニコッっと笑ってガクさんは社食を出て行った。

 その後をスーツ姿の50代位の男性が追いかけて行く。

「会長!もう逃げられませんよ。病院で大人しくしてて下さい」

 病院?

 怪我をしてるようにも病気にも見えなかったけど。

「うちの会長って気さくなおじいちゃんだったんですね」

 亜紀ちゃんがポツリと呟く。

「それで、橘先輩は龍神社長と何かあったんですか?」

 井上君が今は聞いて欲しくないことをずばり聞いてきた。

「まあ・・いろいろとお世話になってて」

「えー、美優先輩、社長とデキてるんですか!」

「亜紀、声大き過ぎ」

 井上君が亜紀ちゃんの頭を軽くコツンと叩く。

 何だかそんな2人がうらやましい。
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