ルージュのキスは恋の始まり
「本社に異動になった時、過呼吸で倒れて社長が助けてくれたの」

「ええー、それって素敵じゃないですか!そのまま恋人ってことに・・‼」

「亜紀、だから興奮し過ぎ」

 社食中に響きそうな大声を出す亜紀ちゃんを井上君がすかさず注意する。

 意外だったけど、とてもお似合いだ。

 井上君ならきっと亜紀ちゃんを守ってくれるだろう。

 私の方は・・・・全然話にもならないけど。

「あっ、私ケーキ買ってくる。美優先輩はどうですか?」

「私はいいよ。好きなだけ食べてね」

「やったー!行ってきます~。先に食べてて下さい」

 亜紀ちゃんに手を振ると、手を合わせて頂きますをした。

「もうすっかり冷めちゃったね」

 苦笑しながら、井上君に声をかける。
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