ルージュのキスは恋の始まり
 このルージュをつけてれば、少しは勇気をもらえる気がして・・・・・・。

「龍神社長ですよね?あのCMのキス、情熱的でした。男は好きな女じゃなきゃ、口紅なんてプレゼントしませんよ」

 井上君はずばり核心を突いてくる。

 彼は頭もいいし、洞察力もある。

「・・・井上君て本当に鋭いなあ。誤魔化せないね」

「いろいろ悩んでるから、ここに来たんでしょう?橘先輩は深く考え過ぎですよ。物事って以外と単純なんですから。とりあえず、これ完食しましょう。亜紀も心配しますよ」

 井上君が私に向かって微笑む。

 それは、私が知っている邪気のない笑顔で私を安心させた。

 コクリと頷いてうどんを口に運ぶ。

 それから亜紀ちゃんが戻ってきて、3人で久々に口紅開発談義に花を咲かせた。

 楽しい一時。
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