ルージュのキスは恋の始まり
「とぼけないでよ!あなたが玲王さんのマンションにいるのはわかってるのよ。私は玲王さんの婚約者なの。来年には式を挙げるわ。あなた、遊ばれてるのがわからないの?愛人なんて嫌でしょう?」

 婚約者?

 愛人?

 一体何の事?

 私の手から封筒が滑り落ちる。

 そして、万札が宙を舞った。

「目障りなのよ。玲王さんも迷惑に思ってるのがわからないの?」

 迷惑・・・・。

 目の前が一瞬にして真っ暗になった。

 そう・・・か。

 玲王には婚約者がいた。

 愛されるわけがない。

 きっとあの夜の事は迷惑でしかなかったのだ。
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