ルージュのキスは恋の始まり
 そして、いつものようにマンションに着くと、歩さんにお礼も言わずに車を降り玲王のマンションに入った。

 西園寺さんが置いていった封筒をダイニングテーブルの上に置くと、玲王にメモを残す。

 もう彼とは一緒に住めない。

 自分の荷物を纏めて玲王のマンションを出ると、私はとぼとぼと電車で3駅くらいの長い道のりを歩いて、百合ちゃんのマンションに向かった。

 歩いていても思い出すのは玲王の事。

 初めて会った時のあの衝撃的なキス。

 でも、俺様口調の中にもちゃんと優しさがあることを知った。

 玲王もちょっとは私の事好きなのかなって思ったこともあった。

 それは彼の優しさを私が勘違いしただけ。

 西園寺さんには悪いことをした。
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