ルージュのキスは恋の始まり
 父の生命保険はおりたけど、数千万なんて金額、私立の理系大学に行ってればすぐ消える。

 ドクターを取らなければ、ろくな就職先もない。

 研究の関係でバイトも出来なかった私。

 大河はそんな私の状況を知っていた。

 優しい大河は私のために芸能界入りしたなんて決して言わない。

 自分が大学を卒業したいからだと笑って言ってたけど・・・・。

 今の私はなんて無力なんだろう。

 就職してやっと自立したと思ったら、また大河の世話になっている。

 情けない姉だ。

「弟は仕事が忙しいからまたの機会にね」

 笑ってその場を誤魔化した。

 弟が有名俳優というのは秘密にしている。
< 30 / 391 >

この作品をシェア

pagetop