ルージュのキスは恋の始まり
「ここに・・・玲王の赤ちゃんがいる」 

 大事なものがここにある。

 迷ってなんかいられない。

 一日一日このお腹の子は大きくなっていくのだから。

「百合ちゃん、私・・・産みたい」

 私の言葉に百合ちゃんが微笑んだ。

「はい。私、美優さんの事応援します。だから、一人で悩まないで下さいね」

 百合ちゃんが私を抱き締めて優しく頭を撫でてくれた。

 もう私一人の体じゃない。

 強くならなきゃいけない。

 玲王が知ったらどうするだろう?

 ・・・婚約者がいるのだから迷惑に決まってる。

 ・・・・知らせちゃいけない。

 百合ちゃんに言われて、目が覚めた。

 おろすという選択肢は今の私にはない。

 彼との連絡は断とう。
< 302 / 391 >

この作品をシェア

pagetop