ルージュのキスは恋の始まり
『え?美優さんが?し、知りませんよ。何かあったんですか?』

 ・・・・。

 声がちょっと震えている。

 百合ちゃんは嘘をつくのが下手だ。

 声は聞こえないけど、多分美優は百合ちゃんと一緒にいるはずだ。

「美優がいなくなったらしくて。もし美優見つけたら教えてくれる?」

『・・・はい』 

「それから、明日俺脇坂さんと大阪でしょ?市販の弁当って味気ないから、悪いけど百合ちゃん2人分作って明日の朝事務所に届けてくれない?」

『あ、はい!それはもちろん』

「じゃあ、頼んだよ。お疲れ様」

「大河さんも撮影頑張って下さい」

 百合ちゃんとの通話を終わらせると、俺は一人ほくそ笑んだ。
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