ルージュのキスは恋の始まり
「玲王は知ってるの?」

「知らない。言うつもりはないの」

「どうして?男だって知る権利はあると思うよ」

「玲王には婚約者がいたんだ」

 美優が哀しそうな眼で呟く。

「それ、玲王が言ったの?」

「ううん。婚約者が私に会いに来て・・・・」

「美優 、玲王と話をした方がいい」

 玲王と電話で話した時は婚約者を名乗る女って言ってた。

 嘘をつくとは思えない。

「でもきっと玲王は迷惑に思うに決まってる」

「美優、冷静になって。妊娠して精神的に不安なのはわかるけど、玲王の気持ちまで決めつけるのは良くない」

「もういいの」

「良くないよ。お腹の子を私生児にするの?」

 心を鬼にして俺は美優に言う。

「・・・・」
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