ルージュのキスは恋の始まり
 自分でお膳立てして・・・ほんとに芝居がかった事が好きだな、あのじじいは。

 じじいと同じ血が俺にも流れているとは思いたくない。

 壇上に上がり、営業スマイルを浮かべ挨拶をする。

「この度はアンジュ創立40周年記念パーティーにお集まり頂きありがとうございます。お陰様でアンジュは・・・・」

 長々と挨拶するのは俺の性分じゃないので5分ほどで終わらせたい。

 この営業スマイルをパーティが終わるまで続けるつもりはない。

 壇上から大河の姿が見えた。

 俺と一瞬目が合う。

 彼の視線は冷たい。

 大河からはあれから1回だけメールで連絡が来た。

" 美優はまだ動揺している。まだ会わないって言ってるし、今会っても話を聞ける状態じゃない。 "
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