ルージュのキスは恋の始まり
 だが、その時ロビーの方から俺目掛けて男性が変な雄叫びを上げながら走って来た。

「・・・彬?」

 手にはナイフを持っている。

「お前のせいだ。お前が現れなければ俺が龍神の頂点に立ったのに」

 猟奇的な眼で彬がナイフを振り上げ俺に襲いかかる。

 だが、俺は怖くはなかった。

 冷静にナイフを蹴り上げ、彬を床に叩き伏せる。

「お前が頂点に立つような器じゃなかったって事だろ。直接手は下してないにしろ、俺の両親を含めお前はたくさんの人間を死に追いやっている。罪を償ったらどうだ?」

 彬が俺を睨みながら、床に転がったナイフを拾おうと手を伸ばす。

 だが、そのナイフを別の手が拾い上げた。

 大河だった。
< 327 / 391 >

この作品をシェア

pagetop