ルージュのキスは恋の始まり
「アンジュの社長は今日で退任した。アンジュは起動に乗ったし、あんたも龍神での地位を回復するし、俺は役目を果たしたろ?」 

「何を勝手な事を。ふん、もういい!わしはもうひ孫を見るまで隠居はしないからな!」
 憤慨するじじいを面白そうに眺める。

「じじい、来年まで生きてたら、ひ孫抱けるかも知れないぞ」

「は?おい、どういう事だ?」

 俺の言葉にじじいの顔色が変わる。

「詳細は後で連絡する。それから片岡・・いや、卓人、情報提供感謝する。歩に協力したんだろ?」

 右手を振って軽くじじいをあしらうと、今度は片岡に目を向けた。

 歩があそこまで彬や西園寺の周辺を調べられるはずがない。

 内部の者でないとわからない。

「本当にあなたって人は全てお見通しでムカつきますよ。彬さんでは自分が納得出来なかったんです。やはり、後継者にはあなたみたいな人が相応しいんでしょうね」
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