ルージュのキスは恋の始まり
「俺の顔で遊ぶな。ここ最近まともに寝てないんだ、もっとこっちに来い」

 玲王が私の身体を抱き上げて密着させる。

 伝わる互いの体温にようやくこれは現実なんだと実感する。

 だが、玲王は寝ぼけていたのか、数秒後には彼の寝息が聞こえた。

 婚約者がいるのにこんな事していいの?

 罪悪感を感じて彼から離れようとするが、彼の腕がそれを許さない。

 玲王の腕の中でバタバタもがいていると、今度は彼に組み敷かれた。

「美優、愛してる」

「・・・・」

 突然の告白に言葉を失う。

 確かにはっきり聞こえた。

 私が欲しかった言葉。

 私が驚いていると、玲王が目を開けて私を見た。
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