ルージュのキスは恋の始まり
「渡米の話は、空港でメールでもするよ。きっと泣くから。でも、玲王が慰めるから大丈夫だよ」

 もう美優の涙は見たくない。

 今日の笑顔を記憶に焼き付けてアメリカに発ちたい。

「龍神社長も美優さん溺愛してましたもんね。あんな愛情溢れた目で見つめられたら、きっともう何もいらないって思うだろうな。羨ましい。あっ・・・」 

 失言だと思ったのか、百合ちゃんが慌てて手を口に当てる。

「だから、もう大丈夫だよ」

 百合ちゃんに向かって優しく笑って見せる。

 幸せそうな玲王と美優を見ても嫉妬はしてない。

 むしろ、安心している自分がいる。

「大河さん男前過ぎでしょう?なんかもっと情けないとこってないんですか?」

 何だ?

 情けないとこって?
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