ルージュのキスは恋の始まり
「・・・・」

 だって、上半身裸の井上君がいたから。

 背が高くて均整のとれた綺麗な身体。

 井上君ってこんなに背が高かった?

 いつも猫背でボーッと立ってる印象だったけど。

 それに、もっともやしみたいにガリガリしてるかと思ってたのに。

 ある意味ショックで声が出ない。

 私に気づいた井上君が私に声をかける。

「最終の戸締まり?俺がやっておくから」

「・・・・」

 俺?

 なんか違うよね?

 いつもの弟みたいに可愛い感じの井上君じゃない。

「俺に見とれて声も出ない?」

 フッと微笑して井上君が私に近づく。
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