ルージュのキスは恋の始まり
「・・・な、なんでこんなとこで着替えてるの?」

 何だか怖くて一歩ずつ後ずさりすると、すぐに井上君に行く手を阻まれた。

 その顔はなんだか怖がる私を見て楽しんでるみたいで。

「女の子に更衣室占領されたんだよ。もう誰もいないと思って着替えたんだけど、亜紀まだいたんだね」

 今・・亜紀って呼んだ。

 誰なのこれ?

 本当に井上君なの?

「・・・いつもの草食系の井上君じゃない」

 思ってる事が思わず口から出る。

 それを聞いた井上君がクスッと声を出して笑った。

「草食系ね。これでもそう思う?」

 井上君のメガネがキラリと光り、彼が私の顎をつかんでいきなりキスをする。

「・・・・‼」

 私が驚いていると、井上君が目を細めて今度は舌を入れてきた。
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