ルージュのキスは恋の始まり
「乗って」

「・・・・」

 有無を言わせぬ顔。

 井上君、あなた一体何者なの?

 ひょっとして・・・・。

「ヤクザじゃないから安心して」

 私の考えが読めるのか井上君がにっこり笑う。

 井上君って得体の知れない・・・・。

 車に乗ること約1時間。

 私の家の前で車が止まった。

「え?ここ実家なんだけど」

「いいんだよ、ここで」

 井上君に手を引かれて、そのままうちの玄関に入る。

 インターホンを押すと母が出てきた。

「あら、亜紀じゃない。何で鍵開けて入ってこないのよ。お客さんかと思ったじゃない」
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