ルージュのキスは恋の始まり
 確かに刺激が欲しいっていつも井上君の前で言ってたけど。

 刺激が強すぎるよ。

「そんな顔しなくても大丈夫だよ。今日はキスだけって言ったしね。お休み」

 私の髪にキスをすると、井上君は母が敷いてくれた布団に入る。

 こうあっさり引かれると安心していいはずなんだけど、何だか調子が狂う。

「ねえ、布団で大丈夫なの?ベッドで寝る?寝にくくない?」

「問題ないけど」

「でも・・・・」 

「誘ってるの?」

 井上君がニヤリと笑う。

「違う!」

 私は赤面しながらもすかさず否定する。

「・・・わかったよ。俺もそっちで寝る」

 モゾモゾっと井上君が動いて、私のベッドに入ってくる。

「・・・・」

 背後から抱き締められて、びっくりした。
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