ルージュのキスは恋の始まり
 玲王の留守中は歩さんが家事を手伝ってくれた。

 先月まで悪阻が辛くて、外にも出られなかったから歩さんの助けは凄く有り難かった。

 そして、今月に入って悪阻がおさまって、急に結婚式を挙げることになったのだ。

 本当に内輪だけの式で、式の進行も私の体調次第。

「具合が悪くなったら遠慮せずに言ってくださいね」

 百合ちゃんが私を気遣って声をかける。

「大丈夫。今日は体調が良いの。この子もわかってるのかも」

 私はお腹の膨らみにそっと手を当てる。

「お利口さんですね。触っても良いですか?」

「うん」

 百合ちゃんが恐る恐る私のお腹に触れる。

「中に小さなスイカが入ってるみたい。もう蹴るんですか?」

「まだなの。でも、胎動はそろそろ感じてもいいはずなんだけどね」

 百合ちゃんと一緒にお腹を優しく撫でていると、控え室をノックされた。
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