ルージュのキスは恋の始まり
「あっ、チャペルの方 、準備出来たみたいですね」

 百合ちゃんが私と顔を見合せ微笑する。

 彼女と一緒に控え室を出てチャペルに向かうと、扉の前で大河が待っていた。

「美優、ドレス似合ってるよ。身体は大丈夫?」

「うん、調子良いみたい」

「無理はしないでよ。じゃあ、行こうか。早く行かないと、義兄さんが心配して探しに来そうだ」

「うん、あり得るかも」

 大河と声を出しながらクスッと笑うと、彼の腕に手をかける。

 すると、音楽が鳴り響き、扉が開いた。

 バージンロードの先に柔らかな笑みを浮かべる玲王の姿があった。

 彼を見つめながら転ばないようにゆっくりゆっくり足を進める。

 玲王の目の前まで来ると、大河が私の手を取って玲王の手に預けた。
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