ルージュのキスは恋の始まり
「確かにお渡ししましたよ、義兄さん。不幸にしたら今度は顔面に蹴り入れるから」

 大河が悪魔な微笑を浮かべると、それを見た玲王が苦笑した。

 今度って一体何の話?

 私がじっと大河の顔を見ていると、玲王が私の手を握って軽く咳払いした。

 あっ、式の最中。

 ごめんなさい!

 目で謝るが、玲王は怒ってはいなかった。

 私を見守るように優しく微笑んでいて、神父の前に立つと小声で言った。

「綺麗だ」

 神父の言葉よりも、玲王の言葉がずっと頭の中でリフレインしていて、大事な誓いの言葉を言うのを忘れそうになった。

 ウエディングドレス姿、玲王に見てもらえて良かった。

 綺麗と言われたのが凄く嬉しい。
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