ルージュのキスは恋の始まり
「キスに反応してるのかもな。後でじっくり確認してみようか」

 玲王が何かを企んだ目で私を見つめながらニッと笑う。

 後で?

 じっくり?

 何を考えてるの?

「大丈夫。ちゃんと睡眠はとってもらう」

「・・・・」

 その言葉、ちょっと怖いんですけど。

 妊婦にあまり刺激を与えないで下さいね。

 私は玲王に目で訴える。

 だが、彼はいきなり私を抱き上げると、参列者の方に向かって言った。

「花嫁の体調が急変したので、式はこれで終了とする。食事は用意してあるので、適当に楽しんでいってくれ」

「え?」

 私・・・調子いいんだけど。

 式の進行を無視した玲王に神父はあきれ顔で苦笑し、大河は口に手を当て笑いを堪えている。
< 385 / 391 >

この作品をシェア

pagetop