ルージュのキスは恋の始まり
 この状況では助けも呼べない。

 ・・・・このままだと私は・・やられる。

 私は口の中に入れられたハンカチを取り出すと、男の顔に向かって投げた。

 そして、男の腕を爪で引っ掻く。

「無駄って言っただろ、わからない女だな」

 男がハンカチを床に投げ捨て、私の顔に向かって拳を振り上げる。

 もうダメだ。

 殴られるのを覚悟して、目を瞑る。

「美優!」

 大河の声がした。

 男が突然の大河の登場に固まる。

「美優に何するんだ!離れろ」

 大河が男の頬を思い切り殴ると、かなりの衝撃だったのか男が床にぶっ倒れた。

 大河はかなり頭に血が上っていたのか、男の腹部を蹴りあげようとする。
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