ルージュのキスは恋の始まり
 龍神玲王。

 嫌だ。

 あの悪魔の前で こんな無様な姿見せたくない。

 私のそんな心の叫びが聞こえたのか、龍神社長が私の方を向いた。

 一瞬目が合うと、私の異変に気づいたのかあの俺様社長が私に駆け寄る。

「おい、どうした?」

「・・く・る・・しい」

 呼吸が荒くなって、言葉もろくに喋れない。

 こんなに空気吸ってるのにどうして酸素が足りないの?

「お前・・過呼吸か」

 私の様子を見て龍神社長が呟く。

「落ち着け」

 私の目を見ながら静かにそう言うと、龍神社長は突然私の肩を抱き締めた。

 あまりの衝撃で私の呼吸が一瞬止まる。
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