ルージュのキスは恋の始まり
「今度売り出す口紅の開発者だ。お前たちもいい勉強になるだろう。期間限定だし、彼女からしっかり学べよ」

「・・・はい」

 田辺が渋々返事をする。

「それで、何の用でここに来た?」

「はい、CMのモデルの件ですが、宣伝部の満場一致で高橋大河に決まりました」

 田辺が手に持っていた資料を俺に手渡す。

 そこには写真が添付されていた。

「人気、実力共に若手ナンバーワンの俳優です。10代から30代までの女性に人気がありますから、うちの消費者層とも一致します。カメラのアップにも耐えられるセクシーで綺麗な顔立ちで、彼以上のモデルはいません。社長とは違うタイプのイケメンですよ」

 余程この俳優にお熱なのか田辺が力説する。

 写真を見る限り、この顔立ちなら女受けしそうだ。

「また、彼の相手役になる女性モデルは敢えて無名のモデルを使います。その方が女性は高橋大河の相手が自分だと妄想出来ますから」
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