ルージュのキスは恋の始まり
 流石に朝の6時ってことはないだろうが、何のために苦労してここまで来たのだろう。

 終業時間はもう過ぎている。

 今から宣伝部に行っても意味はないだろう。

「すみません」

 ガックリ肩を落としながら謝る。

 でも、龍神社長は私の事を無視して誰かに声をかけた。

「片岡、今日はもう帰る。腹へった」

「ああ、2人とも起きたんですね」

 隣の部屋から打合せに龍神社長と同席していた男性が現れる。

「あまりにも微笑ましい光景だったので起こすのは憚れました」

 ニコニコ笑いながら片岡さんが携帯を掲げた。

 よくよく見ると、そこには私と龍神社長の2人が写っていて・・・・。

 私は安心しきって眠ってて、俺様社長もすごく穏やかな顔してて、これじゃあまるで恋人同士じゃない?
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