ルージュのキスは恋の始まり
「橘は高橋大河って俳優知ってるか?」

「・・・・はい」

 それは良く知ってます。

 弟ですから。

「今度のうちのCMのモデル、彼に打診している。お前は開発者としてどう思う?」

 大河がうちのモデル?

 冗談でしょう?

「いい俳優さんだとは思いますが、うちのCMに使うのはどうでしょう?男性がメインってコンセプト止めたらどうですか?」

「俺は直感を信じるタイプなんだ。誰がなんと言おうと止めない」

 龍神社長が不敵に笑う。

 でも、その瞳は1点の曇りもなく真っ直ぐ先を見ていて、ちょっとそんな彼を羨ましく思った。

「おい、着いたぞ」

 ボーッとしているといつの間にか大河のマンションの前に着いた。
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