ルージュのキスは恋の始まり
「ふーん、社長さんがね」

 大河がサングラス越しにチラリと龍神社長を見る。

 何か値踏みするような視線。

 龍神社長もじっと私たちの事を見ている。

「うちの姉がお世話になったようで有難うございました」

「・・・・」

 龍神社長は無言のまま大河を見据えている。

 タイミング悪すぎ。

 ひょっとして高橋大河ってバレた?

「このお礼はまた」

 大河が口角を上げ、軽くお辞儀をする。

 その言葉はどこか意味深だ。

 2人の行動をドキドキしながら見守っていると、龍神社長のが大河の言葉に軽く頷いた。

 そして、私に声をかける。

「明日は重役出勤はなしだぞ。片岡、車を出せ」

 車が去っていくと、大河が唐突に言った。

「あの社長が美優のキス奪ったのか。なかなかいい男じゃないか」
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