ルージュのキスは恋の始まり
「私にも姉がいましたけど、状況に寄るんじゃないですか?」

「そうか」

 片岡に答えを聞いても、まだ納得出来ない。

「まさか妬いてるんですか?」

 片岡がクスッと笑う。

「あり得ない」

 単にせっかく見つけた玩具を奪われて苛立ってるだけだ。

 即座に否定すると、片岡は俺に絡んできた。

「どうだか?今日はあり得ないくらい紳士だったのはどこの誰ですか?」

「何が?」

 とぼけて見せるが、片岡の口は止まらない。

「女を助けてお姫様だっこし、自分の腕を長時間女に預け、女が怖がらないように助手席に座り・・・」

 片岡に言われると改めて俺らしくない行動だと思う。

 あの女は俺の調子を狂わせる。
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