ルージュのキスは恋の始まり
 放っておけば良いじゃないか。

 女なんて所詮みんな同じだ。

 ただの暇つぶしの玩具じゃないか。

「煩い、黙れ」

 こいつの口、針と糸でチクチクと縫い付けたてやりたい。

 俺が憮然とした表情で言うと、片岡が急に真剣な表情で俺に告げた。

「遊ぶのは構いません。でも、本気にならないことです。女に現を抜かしていると、全て失いますよ」

「俺の親父の様にってか」

 俺が自嘲ぎみに笑うと、片岡は冷めた表情でチラリと俺を見た。

「あなたは自分をわかっていない」

「自分の事は自分がよく知ってる」

 俺が反論すると、片岡は静かに告げた。

「あなたは根が優しすぎます。いざと言う時冷酷になれない」

「・・・・」
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