ルージュのキスは恋の始まり
 龍神社長の声が何故か切なく響く。

 私は彼から目を逸らせない。

 俺様悪魔は私に顔を近づけると、そっと口付けた。

 逃げようと思えば逃げられた。

 最初のキスみたいに強引じゃない。

 彼はキスする直前まで私の反応を伺ってた。

 言葉とは逆に怖いなら逃げろって言ってるみたいで・・・・。

「・・・・」

 俺様なくせに、どうしてそんな優しいキスをするの?

 彼がわからない。

 捕らわれたのはむしろ私の方だ。

 逃げられない・・いや、違う。

 逃げたくない。

 もっとこの人を知りたい。

 自分の中でそんな欲が出てくる。

 私が私じゃないみたいだ。
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