ルージュのキスは恋の始まり
 自分で自分がコントロール出来ない。

 私が呆然としていると、彼が口を開いた。

「ヌードな唇もいいが、やっぱ昼間は口紅がないとな。なんか、悪さしてる気にならない」

 龍神社長はそう言って私の唇に触れると、ポケットから口紅を取り出して私に塗っていく。

「これでいい。お前、ファンデいらずの肌してるな。雪みたいに白くて。きっと、風呂上がりの顔が頬もうっすら赤くなって一番綺麗なんだろうな」

「それ、化粧品会社社長の言葉じゃないですよ。それに、人の風呂上がりなんて想像しないで」

「男なんてみんなスケベなんだよ。お前の弟だって同じだ」

「違います。弟はところ構わずキスしたりしません」

 こんなスケベ男と大河を一緒にしないで欲しい。

 私が否定すると、龍神社長はポツリと呟いた。

「ところ構わず抱き付くくせに」
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