いつだってそこには君がいた。
episode1.また明日
春休みは、新しい家で、新しい町に慣れることで精一杯だった。
前住んでいたところよりも割と田舎で。
バス停に1時間に2本しかバスは来ないし、電車もほぼ同じ感じらしく電車通勤のお父さんが苦笑いしていた。
立ち並ぶマンションやアパートも以前住んでいたところよりも低いっていうだけで、心なしか安心感があるような。
スーパーやコンビニは何軒かあるみたいで、そこはお母さんは喜んでいるみたい。
「優梨〜っ?遅刻するわよ〜!!」
そして春休みは終わり、今日は始業式。
バタバタする私に、お母さんの叫び声がリビングの方からした。
「わかってるよぉ〜!!」
だけど、どうしても。
セーラー服のネクタイがうまく結べない。
姿見の前で格闘すること10分。
前はブレザーで、カチッとつけるタイプのリボンだったから……。
ああ、もうっ!ムリ!
これでいいや!!