いつだってそこには君がいた。
適当に結ばれた残念なネクタイ。
昨日の夜から準備していたかばんを持って「行って来まーすっ!」と、家を出た。
新しい制服。
新しいローファー。
お母さんには「前の制服で残りの一年間通ってもいい」って言ったんだけど「みんなと違うのはイヤでしょ?」って新しい制服のついでにローファーまで買ってくれた。
お父さんも「親の都合で優梨に迷惑かけてるんだから、気にしなくていいんだよ」って言われた。
……私は、優しい両親に囲まれている。
「はぁ……」
それでもため息を吐いちゃうのは、これから行く学校が憂鬱すぎるから。
中学3年生になる私たち。
もうすでに2年間も共に過ごして仲良くしてるクラスの輪の中に、私が溶け込めるわけがない。
ひとりぼっちなのは目に見えてる。