いつだってそこには君がいた。



「じゃあね〜」



家の前まで送ってもらい、降りるとみんなに手を振って応えた。
そろそろ走り出すだろうと思った時だった。



「日高!」



奥の方で高橋くんの叫び呼ぶ声が届いた。



「受験までラストスパート、頑張ろうな!」



満面の笑顔をもらって、胸がほっこりさせられた。私も笑うと今日買ったお守りを見せて「うんっ」と頷いた。


みんなで色は違うけれど、お揃いで買ったお守り。


結城くんと沙月ちゃんと目を合わせると、タイミングを合わせたかのように車が発進して行った。


一月一日。今日もとっても寒いはずなのに、胸はすごく温かい。


……私、頑張れる。


心の中で呟くと、家の中に入って行った。



***



二月中旬、すべり止めのために私立高校を受験した。
手ごたえはまあまあだった。
だけど夏休みも冬休みも、長期休み以外だってたくさん勉強したのだから、受かってくれていないと困る。


でも万が一受かっていなかったら……なんて考えると不安になったり。


だけどその不安を払拭してくれるように一週間後、無事に合格の結果が届いた。
他の三人も合格したと報告してくれて、無事にみんな高校生になれることは保証された。


それでも安心してばかりもいられない。私たちの目標は別のところにあるのだから。


ーー三月上旬、ついにその日がやって来た。



「受験票持ったね?消しゴムは?シャーペンの芯はちゃんと入ってる?」


「事故らないように気をつけて行くんだよ」


「大丈夫だって」



玄関でローファーに足を通している私の後ろであたふたする父と母。
ふたりが私のぶんまで焦ってくれているお陰で、私は落ち着いていられる。


振り向くとふたりに笑いかけて「行ってきます」と外へ出た。


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