いつだってそこには君がいた。
両脇には桜の木が連なって立ち並び、はらはらと小雨のように花びらが舞い落ちてくる。
その情景があまりに綺麗で、自然と口角があがる。
校門を抜けると合格発表の時に使われていた掲示板にクラス分けが書かれてあると聞いた。
掲示板前には人混みができている。
かき分けて見える位置まで進むと自分の名前を探した。
「一組か」
呟くと、沙月ちゃんが「え!?」と声を荒げた。
「私は六組だよ、一番離れてるじゃん」
「えっ」
「俺も六組だ」
後ろで聞こえた声。思わず高橋くんの顔を見ると口をだらしなくさせたまま目を見開いた。
高橋くんも六組だなんて、そんなまさか。
浮かれていた気分が急落して、控え目に比喩しても絶望感が心を覆いつくす。
「俺は一組だよ」
結城くんが私の肩に手を置いた。
背の高い彼を見上げると微笑まれて、すこしだけ心が楽になる
ひとりだけ離れているわけじゃなくて良かったけれど、それでもこの結果は納得できない。
ショックが大きすぎる。
一学年六つにわかれていて、同じクラスになれる確率なんてそう高くないからこの采配はおかしくないのだろうけど、それでも私は高橋くんとも沙月ちゃんとも同じクラスメイトになりたかった。
我がまますぎる願いだろうか。
最近の私は、欲に素直になりすぎだろうか。
「でも俺たち同じ学校にいるんだし、あんま落ち込むなって」
「うん」
高橋くんの励ましに小さく頷いた。
「そうだよ、昼休みとか集まればいいじゃん?放課後だって時間合わせて遊ぼうよ」
「うん、そう、だよね……」