いつだってそこには君がいた。
「こんだけ差があるけど?」
自分の頭に手のひらを乗せて、その次にそのまま高さだけを変えることなく私の頭上に手のひらを持って来た彼。
一歩だけ後ずさって距離をはかると、ドキドキする胸を抑えて「……意地悪」と呟いた。
すると彼は「ははっ」と可笑しそうに笑う。
そうしてようやくたどり着いた図書室。他にも勉強をしている生徒がちらほらいて、来週のテストを現実味を帯びてきた感覚。
窓際の空いている席に向かい合わせで座った。
静寂に包まれた図書室内に、喋るのも気を使う。声量とか大丈夫かな。
「なあ、ここ教えて」
「あ、ここは……」
小声で話すけれど、自分の心臓の音であまり聞こえない。
ちゃんと伝わっているのか心配になり、高橋くんの顔を見ると、てっきりノートに向かっていると思っていた彼の目線とばっちり重なって驚愕した。
比喩じゃなく、本気で心臓爆発するかと思った。それぐらいの衝撃だった。
そしてそれは目の前の高橋くんも同じだったようで「な、なん……」と口をパクパクさせている。
「も、もう、説明してるんだからちゃんとノート見ててよ」
「ご、ごめん」
しどろもどろになりながら少しだけ説教の真似事。焦っている自分を隠すためだ。
高橋くんも顔が赤くなっている。窓から差し込んでいる夕陽のせい?
目が合うだけでこんなにドキドキして、私、本当に高橋くんが好きなのだと改めて関心せざるを得ない。
好きだな……高橋くんのこと。
実感して、さらに気持ちが膨れ上がった気がした。