いつだってそこには君がいた。
クラスの前までたどり着くと一息ついて、しまっている扉に手を伸ばした。
「つかさぁ俺、お前らのせいで無駄に振られたんだけど」
聞き覚えのある声と身に覚えのある内容に扉にかけていた手の力をそっと抜けた。
そのままフリーズして、ドアについている小窓から中の様子を見てみる。
するとそこには田中くんと雪菜ちゃん、それに舞ちゃんと莉奈ちゃんの姿が見えた。周りには数人のクラスメイトもいる。
……無駄に振られた?それってどういうこと?
「いやマジうけるんだけど」
「笑えないから。本当になんで俺あんな真面目で地味な女に振られなきゃいけねーの?まあ見た目はまだマシだけどさぁ、なんの魅力もねえじゃん?」
「あんたと付き合ってくれたら私らも結城くんとか高橋くんに近づきやすくなると思ったんだけど、まさか振られるとはね」
田中くんと雪菜ちゃんが繰り広げていく会話の内容にズンズンと心がけ重たくなっていき、次第にズキズキと痛みだす。
ここから今すぐにでも立ち去りたいのに、動けない。
「なんで私たちが友だちになってあげたか全然わかってないんだもん、あの子。遊びのセッティングしてって言ってもやんわり断ってくるし」
不満色を募らせた雪菜ちゃんの声色。それに同調するように舞ちゃんと莉奈ちゃんが頷いている。
……最初から?
最初から高橋くんや結城くんに近づきたくて私に声をかけてきたということなの?