いつだってそこには君がいた。
友だちになろうって言葉も、今まで過ごしてきた時間も、すべて偽りのもの?嘘?
「正直ふたりとお近づきになれないなら友だちでいるのはもう時間のむ……」
お願い、誰か、誰でもいい。
なにも聞きたくないから、耳を、目を、塞いで……。
心の中で唱えた願い。それが聞き届いたか、誰かの手によって視界が塞がれる。そのまま抱きすくめられるように体重が後ろに片寄って行った。
目の前が真っ暗なまま、耳元で「もう聞くな」と囁かれる。私のよく知っている男の子の声だった。
そして離された手。私の前に立った彼の背中で視界がいっぱいになる。
ーーガラガラッ、ドン!
勢いよく扉をスライドさせて開けた。中にいたみんなが驚いたようにこちらを見て、目を見開いた。
彼が黙ったままズカズカと歩いていくと、田中くんの胸ぐらを掴んだ。
「なんだよ結城……っ」
「うるせえ、黙れ。お前なんかにな、こいつの魅力がわかってたまるか」
結城くんの横顔がすごくすごく……怖い。眉間にシワを痩せて、鋭く目尻を吊り上げさせている。まさに鬼の形相といった感じに。
「お前らみたいなクズが傷つけていい女じゃねえんだよ、あいつは」
いつもはクールで、こんな声を荒げる人じゃないのに。
どうして結城くんがそこまで……。
「なんだよ、結城、お前まさか日高さんのこと好きなのか?」
胸ぐらを掴まれている田中くんが半笑いで馬鹿にしたようにボヤく。