いつだってそこには君がいた。


ああもう、今日なにもかもいっぺんに起こりすぎ。


でも高橋くん、私が言った「好き」に対してなにも言わなかったな。


振られたってことかな……でも、わかんない。
嫌われてるとは思わない。


スルーされたって可能性はないかな……。


目をぎゅっとつむる。そしてお布団を頭の上までかぶせた。


今私が考えるべきはそれじゃない。


明日ちゃんとふたりと話さなきゃ。


ちゃんと誠心誠意、ふたりと対峙して、これからも仲良くいたいって気持ちをぶつけよう。


言わなきゃ、なにも伝わらない。


私の気持ち。


次の日、朝目覚めると目が腫れていた。そりゃそうだ、あれだけ泣いたのだから腫れないほうがおかしい。


洗面所で顔を洗い、朝食をリビングで父と母と食べる。


ふたりの顔を見ても、なにも言い出そうとする素振りはない。


転勤のこと、話してくれないのかな……。


私、また引っ越さなきゃいけないの?
せっかくできた友だちと離れたくなんかないのに。



「優梨?どうしたの?」


「っ、なんでもないよ。ご馳走さま」



食べ残した食材をお皿に乗せたまま、流しに持って行く。
三角コーナーに残飯を入れると、スクールバックを手に持ちリビングを出た。


玄関でローファーを履くと、わざとらしくリビングにいる両親に向かって「行ってきます!」と明るく家を飛び出る。


いつも通り最寄駅に向かい、定期券をかざして中に入った。するとそこには高橋くんがいて、不器用に笑うと高橋くんも笑顔を返してくれる。



「おはよう」

「おはよう。ふたりは?」



私の問いに、高橋くんは首を横に振った。


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