いつだってそこには君がいた。
episode0.プロローグ



私は友だちをつくるのが、とても苦手だ。


とてつもなく人見知りで、初対面の人と会話するのなんて手が震えるほど緊張するし、しゃべるとすぐ噛んじゃって、自分が思っていることをうまく伝えられない。


授業で手を挙げて発表なんか絶対しないし、出席番号と日付けの関係で当てられた日は本当に最悪。


国語の時間に同じところを二回も読んでしまってクラスメイトたちに笑われた時は本当に泣きそうになった。



「優梨、ごめんな?」



朝の7時すぎ。
お母さんが作ってくれた朝ごはんを食べる私の名前を呼んで、申し訳なさそうに謝るのは出勤前のお父さん。


目尻がさがっている私のたれ目は、このお父さんゆずりだ。



「いいって。仕方ないよ」

「でも急に転勤だなんて。せっかくできた友だちと離れるのも寂しいだろ?」



お父さんの言葉に苦笑いを浮かべる。



「うん……でも、大丈夫」



……本当は友だちなんか、いないけど。


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